アスベスト
- アスベスト(石綿)ほど、その地位が栄光の座から地にまみれた例もないでしょう。
古代ギリシア語の「消化できないもの」というその語源の通り、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などの特性に非常に優れていました。
これだけの特長にもかかわらず安価だったので、「奇跡の鉱物」としてもてはやされるのもうなずけます。
このため、工業製品のありとあらゆる分野で使われてきました。
学校のアルコールランプを使った実験での「石綿金網」は大概の方の記憶にあるのではないでしょうか。
ところが、空気中に飛散した石綿の繊維が人体に悪影響を及ぼすことが明らかになり、この物質を取り巻く環境は一変します。
人体の主として肺に入り込んで塵肺、肺線維症、肺癌、悪性中皮腫といった致命的な病気の主要因とされるに至って、現在では一切の製造・輸入・使用・譲渡・提供が禁止されるに至りました。
ただ、石綿による疾患が出るまでには30〜40年かかるという説もあり、「奇跡の鉱物」は今や「静かな時限爆弾」と呼ばれるまでになりました。
しかも、全ての使用が禁止されて問題が解決されたわけではありません。
石綿は建材としても広範囲に使用されており、建造物を解体する際には飛散防止などに細心の注意を払う必要があります。
そして、2020年から2040年にかけて、石綿が使用された建造物が耐用年数を迎え、解体のピークを迎えると予測されています。
今までは特定の業務に従事している人だけのものだった石綿による健康被害が、一般にも広がることが懸念されているのです。